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こたろう博物学研究所
探訪記録:20030914

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砥部町観瀑行【平成15年(2003)9月14日】


 次男(中学校)の運動会が思ったよりも早く終わった。14:00である。天気も上々なので、かねてより行きたいと思っていた「五光の滝」に向けて出発。

 県道23号線(伊予川内線)国道33号線国道379号線と車を走らせ、「古幸(ふるこう)」バス停の近くで車を止める。確かこのバス停から西へと入ったところにあるはずだ。

 砥部川に沿って南へ歩いて行く。橋を渡ってすぐのところで道が分岐している。さてどちらへ進むべきか。滝があるというならば、そこより沢が続いていて然りであるが、水音も全くしない。確かに溝のような沢があることはある。方角的には右に折れるべきなのだが、道幅は左側の方が広いし、アスファルト舗装もしてある。どちらに進むべきか悩んだが、道幅が広いし、多分遊歩道として整備しているんだなと勝手に思いこみ、左側の道を進むことにした。しかし予想に反し、行き着いた先はアスレチック公園。草茫々で荒れ果てていて、遊ぶ子供の姿も見当たらない。

 どうやら勘が外れたようだ。と、分岐のところまで引き返すが、どう考えても右側の道も単なる山道にしか見えない。登って行って何にも巡り会えないのも悲しい。ふと国道側に目をやると、ネコグルマを押しながら川下の方へと歩いている老婆の姿が目に止まった。これは、訊ねるに限る。

 急ぎ足で歩いて追い掛け、
「すんません!この近所にお住まいの方ですよね?」
と声を掛ける。相手が「はい」と答える間もなく、
樽川大師の場所、ご存知です?」
と問いかけると、
「あぁ、樽川さんじゃったら、そこの車道を進んで行ったら、ちょうどそこの山の裏手あたりに出るけんな」
と指差して教えて下さった。なるほど、すこし川下に下りたところから車道が続いているようだ。しかし、老婆の指差す方向は、先ほど登りかけていた山道の行き着く方角に合致している。
「ほしたら、そこの所から歩いても行けますかいね?」
「あぁ、どっちからでも同じ所に出ますけんな」
「ありがとうございました」

 樽川大師へは先ほどの道で間違いないと確信し、元の場所まで引き返す。山道は蜘蛛の巣だらけで、誰も最近通った形跡はない。拾った小枝で蜘蛛の糸を払いながら上へとあがっていく。道端にはヒガンバナが真っ赤な花をつけ始めている。残暑が厳しい日々が続いていたが、秋の気配を感じさせるではないか。

 薄暗い林を抜けると、「砥部四国23番」の道標が建っていた。これに従って歩けば間違いない。畑で枯草を焼いている農家の人がいたので、「樽川大師はこっちでいいんですよね?」と念押し確認をする。
「あぁ、こっから1分ぐらいよ」
「ちなみに五光の滝もあるんでしたよね」
「大師堂の横に滝が落ちよらい」

 なるほど、1分足らずで大師堂の姿が見え、そして微かな水音が聞こえてきた。
 
1.樽川大師堂/五光の滝(砥部町川登)
・砥部四国霊場 23番 薬王寺

 水量は極めて少ない。これでは、登り口の沢に水が流れてなかったのも頷ける。しかし、沢に架かる滝らしく、垂直に切り立った岩の隙間から流れ落ちる様は、なかなか趣があってよろしい。落差は7〜8mといったところか。「五光の滝」という名前は、朝日が当たって五色に輝くことに由来するようであるが、今は14:30を過ぎていて、太陽は山の陰に隠れてしまっている。五光はおろか、フラッシュを焚かねば写真に写らないほどの薄暗さである。

 ひと通り写真撮影を終えた後、もう少し山道を奥へと歩くことにするのだが、行けども車道と合流する様子がない。先ほどの老婆の教えに従って車道を行けば、降り口を見つけることができずに苦汁を舐めたかもしれないなぁ...と思いつつ、農作業小屋のところで引き返すことにする。

 「目当ての滝にも辿り着くことができたことだし、さぁ今からどこへ行こうか」と地図帳を眺める。ここからすぐそこの岩谷口のところに、標高172.85mの3等三角点があるではないか。折角来たのだから、これを制覇しない手はない。などと意気揚揚と車を走らせるのだが、登り口がいっこうに掴めない。岩谷口より岩谷へと入っていくのだが、歩けそうな道が見当たらない。まぁ無理してまで行くような山でもない...とすぐさま挫折。人間諦めが肝心である。

 とはいえ、このまま帰るのは勿体ない。そうだ。そういや、外山の上流、鵜ノ崎の下側に「白滝」という滝があったはずだ。鵜ノ崎出身のYさんに聞いたことがある。しかし、「外山から和田川を上っていったとこ」という極めてアバウトな情報しか聞いていない。果たして、これで本当に滝に行き着くことができるのだろうか。一抹の不安を抱きながらも、銚子の滝、鳴滝、五光の滝に続き、砥部町四瀑(勝手に命名)の第4の滝を目指して出発。
2.白滝(砥部町鵜ノ崎)

 砥部衝上断層を通りすぎ、大南より県道53号線(大平砥部線)へと左折。五本松・外山の集落を通過し、砥石山の登り口のところに車を止めて川沿いに登って行く。最初のヘアピン状のカーブのところから車道に別れを告げ、軽トラ1台がやっとの農道を歩いて行く。眼前に大きな砂防ダムの姿が見える。

 農道は砂防ダムの直下で途絶えた。ここから右側に山道が続いている。この道も最近は誰も通っていないようで、蜘蛛の巣のオンパレードである。枝で払ったつもりでも時折顔面に絡みついてくる蜘蛛の糸をうっとおしく思いながらも、とにかく行くしかない。

 思ったよりも明瞭な道が続いている。荒れ果てた薮道を予想していたが、蜘蛛の巣が大量にある以外は絶好の道である。

 15分ほど歩いただろうか。先ほどの五光の滝よりも大きな瀑音が段々と近付いてきた。山道から左手を見下ろすと、巨岩の頂部から沢へと向けて勢い良く水が落ちているのが見える。無事白滝に到着。

 落差は目測15m弱。なかなか見事な滝である。小さい川ながら水量はまずまず豊富。山道を少し登れば滝の上部にだって立つことができる。煙草に火をつけ、しばし休息。

3.砥石山(砥部町外山)

 時刻は16:30を回っている。さぁおとなしく家へ帰ろうかと思ったが、いつもの調子で寄り道のオンパレード。
 まずは砥石山に立ち寄っておかねばバチがあたるというものだ。車で一気に砥石山公園へと登る。砥石の採掘された岩嶺や、南側に聳える障子山の姿を眺めた後、次なる目的地へ。

4.田ノ浦町民広場(砥部町田ノ浦)

 ■農免農道竣工記念碑 
 お次は、物言うドンコの伝承地である土子ヶ池(砥部町川井)を探しに行くことにした。確か、「重光へと流れる荒倉川の上流」かつ「川井地区」が所在地であったはずだ。しかし、地図帳には全く記載が見つからない。しかし、上の二つの条件に合致するのは、田ノ浦町民広場の南側の池ぐらいしかない。

 川井上組バス停の手前より田ノ浦町民広場へと登り、駐車場に車を停めて池を眺めに行ったのだが、これが土子ヶ池であることを示すものは全く存在しない。しかも南側は人工的な堤が池の水をせきとめており、伝承地にしては趣に欠ける感がある。
5.水満田古墳公園(砥部町麻生)
 ■金毘羅上池竣工記念碑
 このようなコースを辿れば、あとはお決まりのパターンで、水満田古墳公園へ。そう何回も何回も行くような場所でもないようにも思うが、砥部の町並、松山市内を見渡すには手頃な場所であるし、南方の大友山を見渡すのも良い。西側には行道山の鉄塔群も見える。

6.魔住ヶ窪地蔵堂(砥部町重光)
 どうせならここにも寄っとかんと。

7.矢取川(砥部町八蔵)
 ついでにここにも寄っとかんと。

8.伊予灘SA(伊予市上野)
 本日の最後のシメは、ここで「ポンジュース」をがぶ飲み。ほんとは、ここで夕陽を眺めようと思ったのだが、高速道路脇を走行中に日没を迎えてしまった。残念。
 

 

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