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こたろう博物学研究所
探訪記録:20020427

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堂ヶ森〜二ノ森縦走【平成14年(2002)4月27日】



 ここ1ヶ月半、腰痛モードと土日ほとんど無し・昼夜見境無し出勤状態で、山登りもとんと御無沙汰になっていた。腰痛もだいぶひいてきたし、天気も良さそうだし、おまけにちょうどアケボノツツジの季節だし、....ということで、連休登山シリーズの第一弾として、保井野から堂ヶ森を目指すことにした。

 先月の奥木地林道歩き(2002年3月13日)以来、久々の長距離歩行である。メールチェックをすると「花の山を歩こう」の菅野さん夫妻も堂ヶ森に向かうとのこと。2000年4月29日の石墨山以来お会いしておらず、久々に再会できることも楽しみになった。

 よほど嬉しかったと見え、5:30には目が覚める。ここ数ヶ月では最も早い起床時刻である。
 犬の散歩を済ませ、車の中のゴミを片付け、リュックサックの中身を整理して、朝食を済ませる。そうこうしているうちに、あっという間に7:20になっている。「こりゃいかん!待ち合わせに遅れる!」と慌てて、自宅を出発。御近所に住む同僚のナベさんを迎えに行く。



 川内のローソンで食事・ビール等を調達後、国道11号線を東進し桜三里を越える。そして落合より鞍瀬谷沿いの県道153号線(落合久万線)へと折れる。
 明荷入口バス停あたりで前方に見覚えのある車が停車気味のスピードで走っている。
 「こないにゆっくり走りよる...ということは、菅野さんの車じゃなかろうか?」
と思いつつ、幅員のやや広いところで追い越しながら運転席・助手席に座っている人の顔をチェックする。やっぱりそうだ。きっと通りすがりに野の花をチェックしているのだろう。手を振って合図しようかとは思いながらも人違いだったらみっともないので、取り敢えず登山口にて待つことにしよう。


 鞍瀬谷沿いにはノフジが至る所にお目見えする。房が短く決して華麗とは言えないが、多くの紫色の花房を携え、山に彩りを添えている。園芸種では味わえない「逞しさの美」を感じる。


 保井野のバス停をやや過ぎたところで、重たそうなリュックを担いだ一人の青年の姿が目に留まる。一旦通り過ぎたのだが、これから登山口までは約2kmはあろうし、折角だから乗せていってあげようと車を停める。
 「どうです?登山口まで乗っていきません?」
青年は「それじゃお願いします」と応え、後部座席に乗り込んだ。
 「どっからお出でたんです?」
 「岡山からです」
 「それじゃ、壬生川からバスに乗って保井野まで?」
 「ええ。今朝は3:00過ぎに岡山を出たんですよ」
 「へぇ〜。そりゃ気合入ってますねぇ。で、これからどこまで行かれる予定なんです?」
 「三泊四日の行程で、別子山村の三ツ森山ぐらいまで行こうと思ってるんですよ」
 「ひゃ〜。なかなかハードな行程ですね」
さすが若者。元気さが違う。
 井戸端会議のオバチャンの中に赤ちゃんを抱いて新米ママがやってきたシチュエーションのように、青年にあれこれと質問を浴びせかけているうちに、シャガの花が咲き乱れる森を抜け保井野登山口へと到着。
 駐車場には4〜5台の車が既に停まっている。ゴールデンウィークの初日だけあって、いつもと違い、多く(?)の人が訪れているようだ。早速、我々も登山準備に移ることにしよう。
 青年は「有り難うございました。それじゃ一足お先に」と一礼して、颯爽と登山道を上がって行く。「それじゃお気をつけて。また山頂で会いましょう」と返礼し、我々は菅野さん夫妻を待つこととする。
(「また山頂で会いましょう」とは言ったものの、これは愚かな会釈であった。若者の健脚に叶うはずもない。我々が堂ヶ森に到着するころには、ノンストップ急行のごとく、既に遥か彼方まで歩き去ってしまっていたのだ。)


 しばらくして、先程追い越した車が駐車場にお目見えする。やはり、菅野さんに間違いなかったのだ。
 「どうもどうも御久し振りです」
と久々の再会を祝し、しばし歓談。


 9:10より登山開始。出足快調....と言いたいところだが、歩きはじめてすぐに息が上がりそうになるし、足が痛くなってくる。ここ1ヶ月半まともに山道を歩いていないブランクは大きい。
 9:30、相名の分かれを過ぎる。ひょっとしたら本日はここの道を下りてくることになるかもしれない。そんなことを考えながら、先へと進む。
 スギ林を抜けると、若葉が美しい落葉樹の林だ。足元には色んな花が咲いている。(ラショウモンカズラ、ユキザサがいっぱい。ミヤマキケマンと思われる花が一輪。) 花に関してはズブの素人なので、すぐさま名前の照合ができないが歯痒いところである。名前がすらすらと言えるくらいになれば、もっと山歩きも楽しいだろうに。

 ※花に関しては、菅野さんが「2002年4月27日の山歩き記録」に詳しく記しておられるので、それに譲ることとしよう。



 段々と勾配がきつくなる。くねくねと曲がりながら高度を稼いでいく。「こりゃ堂ヶ森までよう行かんかもしれんよ」とナベさんに弱音を吐きながらヨタヨタと上っていく。
途中、イノシシのヌタ場らしき跡が道に残っているのを確認。
 10:13、から池に到着。歩きはじめて一時間だというのに、もう2〜3時間は歩いた気分である。体力の衰えをしみじみと感じてしまう。しかし、薄い黄緑に包まれた空間は、疲れた身体を一気に癒してくれる。ここの林はいつ来ても美しい。ブナ、カゴノキ、ヒメシャラなど多種の木々が林立しているのだが、見事に調和が取れている。取りたてて「ここが凄い!」と褒めるものもないのだが、僕にとってはお気に入りの場所である。
 木の枝越しに青滝山の姿を眺めながらたっぷりと30分近くの休息を取り、10:43に再び歩きはじめる。


 10分ほどでシャクナゲ歩道に入る。道の両側には数多くのシャクナゲが群生しており、花期が待ち遠しいのだが、いかんせん今年は蕾の数が少ないようである。
 花らしい花にも出会わず、ただひたすら去年の登山の記憶を思い浮かべながらアケボノツツジの花の咲く場所を目指す。左手に目をやると谷の両脇に薄いピンクの花がポツポツと見える。写真にとりたい気分であるが、ちょっと距離がありすぎる。まるで人を避けるように離れていったようにも思えてくる。
 やがて登山道に落ちた花びらが散見されるようになる。見上げると、柔らかなアケボノツツジの花が我々を待ち構えてくれている。去年は雨に祟られ、水滴の重みに耐えようと身体をすぼめたような花を見ることとなったが、今年は幸いにも好天に恵まれ、ふんわりとした花びらを広々と広げている姿を見ることができた。感激である。
 山に生まれ、山に育っただけに、山で花に出会っても「ふーん、花が咲いてるね」ぐらいにしか感じることはなかったのだが、こんなに興味深く花を眺めてしまうのは、やはり歳をとったということだろうか。


 11:30に水呑場を過ぎ、急斜面の道を上る。ここを踏ん張れば、もうすぐ笹道だ。
 11:45、保井野分岐に到着。曇天気味ではあるが、ガスも出ておらず、見通しは抜群に効く。西手には石墨山・皿ヶ嶺山系・桂ヶ森、そして道後平野まで見通せる。平野の北側には明神ヶ森から東三方ヶ森にかけての山々の姿も見える。南方へと目をやれば、大川嶺・四国カルスト・中津明神山などの姿も確認できる。満々と水を湛えた面河ダム湖の姿も明瞭である。ここまで来て、景色も見渡せないのではシャレにならないが、今日は実にシャレになった。


 10分間のたばこ休憩の後、「最後の踏ん張り」と言い聞かせながら緩やかなな笹道を上りはじめる。道の脇にはショウジョウバカマがお目見えしてくる。
 半分ぐらいまで上ったところで下山中の登山者とすれ違う。梅ヶ市から上ってきたという初老の男性である。
 「どちらから上っておいでたん?」
 屈託のない笑顔で問い掛けてくる。
 「保井野からなんですよ。駐車場には4〜5台車が停まってたんで、今日は結構山頂に人がいるんでしょ?」
と返すと、
 「いいや、中年の人が一人おっただけよ。わしゃ梅ヶ市から上ってきたんじゃけど、駐車場にはワシの車だけじゃったしね」
と意外な回答。それじゃ、保井野の駐車場に停めてあった車の持ち主達はどこへと消えたのだろう?「きっと、土小屋方面からと保井野からとに分かれて上り、石鎚あたりで合流するんだな」と勝手に解釈してしまう。


 12:25、堂ヶ森頂上に到着。なるほど、先程の初老の登山者の言っていた通り、山頂には中年登山者が1名いる以外、誰一人姿が見えない。
 まぁそれはそれとして、とりあえず山頂に着いたのだからまずは記念撮影。そして山頂からの景色を堪能。そうすればあとはお決まりの祝杯へと移らねば。
 三角点の場所は風が強いので、南の尾根まで下って、陣をとることにする。腰を下ろすや否や「さぁ早速やりましょう」とナベさんが持参のビールを差し出してくれる。
 「かんぱーい!ども、お疲れさんでした!」
と声掛けあって、祝杯をあげる。よく冷えていて美味い!

 1本目のビールを飲み干した頃、菅野さん夫妻が山頂到着。早速、「お疲れさま」と声を掛け、「祝杯ビール」を差し出す。我々も2本目に移り、弁当片手に花談義へと突入する。
 登山道で見かけた花の名前を菅野さんに教えて戴く。使い込まれた花図鑑を片手に、丹念に説明して戴く。そういや、僕もちゃんと「野の花」「山の花」「野山の樹木」と3冊の図鑑を持ってきていたのだ。僕も負けずにとリュックからひこずり出すのだが、手垢も折り目もついていないような図鑑を出してるようじゃ話にならない。菅野さんの図鑑はポストイットも貼っていりゃ、折り目も当然ついてるし、書き込みだってしてある。「なるほど。これならすぐに花名を判別できらいねぇ」と感心してしまう。



 気がつくと昼食タイムは2時間を経過していた。
 プランとしては、体力・時間があれば「二ノ森までの縦走」若しくは「青滝山までの縦走」を目論んでいた。時計の針は14:00を回っている。通常の登山であれば、このまま下山するのが本筋だ。「さて、この先どうしようか」とナベさんと相談したが、「折角ここまで来たのだから、二ノ森の山頂も踏んでおかんと勿体ないね」という結論となり、14:15、菅野さん夫妻に別れを告げ、二ノ森へ向かって歩きはじめることとする。


 堂ヶ森〜五代の別れの間の尾根道には、ショウジョウバカマが登山道の両脇に数多く咲いている。不思議なことに、道の北側に咲く花は赤みがかって、南側に咲く花は青みがかっている。「ひょっとして品種が違うのか?それとも土壌の質が微妙に違うのか?」と思うのだが、これ以上突き詰めるだけの素養は持ちあわせていない。
 ショウジョウバカマ以外には花は見当たらない。花は見当たらないけれど、岩場の上で食事をしている若者カップルの姿が見当たった。普段山歩きをしていて人と出くわすことは余りない僕なのだが、(「どんな山行っとんで?」と一人ツッコミをしてしまいそうになる。) ましてや山上でカップルの姿を見ようとは!(「そんなに感動するようなことでもなかろが!」と再度ツッコミを入れる。)


 なだらかな尾根道だが、結構足にきているようでなかなか足が前に進まない。15:00、五代の別れに到着。やはり、きつい。腰痛後のリハビリ登山なんだから、少しは自粛しといたほうがよかったかと反省しつつ、15分の休息でどうにか回復。パートナーであるナベさんの存在にも助けられながら、二ノ森へ向かって再び歩きはじめる。
 鞍瀬の頭にも寄りたいところであったが、体力・時間的に厳しいので、それは断念。トラバース路を用いてニノ森に直接向かうことにする。


 15:39、二ノ森到着。苦労の甲斐なく、石鎚の姿は霧に覆われて全く拝めない。いつもながら、どうも石鎚とは相性が悪い。「近くでワシを眺めようだなんて10年早いわい。あんたは遠くから眺めよったらええんよ」と嘲笑っているようにも思えてくる。
 まぁそれはともかく、無事山頂を踏むことができたので満足満足。霧に包まれた風景というのも、なかなかいいもんである。


 約20分の休息後、下山に移る。
 二ノ森から堂ヶ森への帰り、笹の根っこに足を取られて転びそうになったのをぐっとこらえた瞬間、ピリッと腰に痛みが走ったときには、
 「まずい!こんなとこで再発したら生きて帰れん!」
と冷や汗が出てしまう。
 「救助隊呼んであげよか?」
とナベさんが茶化す。
 「そげなことされたら、わしゃ一生ローン組んでも救助費用返さんといかんがな」
と真顔で返す。


 「腰痛のリハビリ登山」のはずが、「身体苛め登山」になってしまったきらいがある。
 から池からの下り道では両足とも完全に膝が笑い始め、足を踏み下ろす都度、両膝に痛みが走る。ひぃひぃとうめき声を上げることで痛みを紛らわす。もはや花を眺める余裕さえも失ってしまっている。
 それでも、どうにかこうにか18:50、保井野登山口まで無事帰還。辺りは夕闇が迫ろうとしている。


 トレーニング不足やなぁ.....。もっと頻繁に山に繰り出さねば.....。


【同行者】ナベさん(、菅野さん夫妻)
【コースタイム】 ※休息時間は除く
[往路]保井野登山口−(20分)→相名の分かれ−(40分)→から池−(60分)−保井野分岐−(30分)→堂ヶ森−(45分)→五代の別れ−(25分)→二ノ森
[復路]二ノ森−(20分)→五代の別れ−(35分)→堂ヶ森−(45分)→から池−(45分)→保井野登山口
 

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