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こたろう博物学研究所
探訪記録:20010616

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不入山(高知県東津野村)登山【平成13年(2001)6月16日】


 (雑記)


 昨夏以来、10ヶ月振りに稲葉さんと山登りに出掛けることにした。何度も「今度一緒に行きましょうね」と計画を持ち掛けながらもお互いの都合がつかず、延び延びになっていたのだ。「二人とも登ったことが無い山に行こう」ということで、以前より候補地として挙げていた不入山へと繰り出すことにした。

 6:30、松山市を出発。南環状線経由で国道33号線に出る。今日はいつも土曜日の朝と比べて車の量がやや多いような気がする。しかしイライラするほど混んでいるわけでもない。

 砥部町のローソンで朝/昼用の食材を調達後、パンをかじりながら三坂峠へと車で上っていく。久万町に入り、国道脇の湧き水をPETボトルに詰め、更に国道33号線を南下する。

 大渡(おおど)ダム湖畔を越えたところより、標識に従い右折し、長者川沿いに国道439号線を進む。予想外に2車線の快適な道が続く。仁淀村の町並みを抜け、長者トンネルをくぐり、「四国の3桁国道にしてはしっかりした道だなぁ」と感心するのも束の間、車幅1台分がやっとの細い道へと変わって行く。これこそ「四国の3桁国道」のあるべき姿だ。

 東津野村との境にある矢筈トンネルが見えてきた。ここから左に折れ、林道・船戸仁淀線を進むと、やがて「鶴松森登山口」の立て看板が左側に見え、間もなく「不入山登山口」という標識が立つ林道起点となる三叉路へと辿り着く。談話時刻は07:35。
 ここには車4〜5台の駐車スペースがあり、既に高知からのパーティの車が一台停まっている。その脇に車を停め、僕達も早速登山準備に移る。そこへ岡山からのパーティ(2名)が到着。地元(東津野村)出身の御婦人達で、東津野村の実家に一泊後、不入山目指してやってきたとのこと。

 登山準備をしながらしばらく談話した後、08:50登山開始。
 林道入口のゲートを乗り越えて歩き始める。何か花はなかろうかときょろきょろしながら歩いていると、吸葛(スイカズラ)の白い花が目に入る。
 林道の脇のあちこちにキイチゴが大きな黄色い粒をつけている。誰も手につけている様子もなく、甘酸っぱい大きな果実を賞味することができた。とても懐かしい味に本能がくすぐられ、数歩歩いては口にする始末である。
 
 林道歩き60分は退屈しやしないかと思っていたが、雑木帯・落葉樹帯とバラエティに富んだ自然林が続いており、岩場などにはシャクナゲの幼木が張り付いているのも見え、始終飽きることはなかった。季節が季節だけに、それほど花らしい花にも巡り会えなかったのだが、空木(ウツギ)や小額空木(コガクウツギ)の白い花を目にすることができた。

 40分ほど歩いたところに「四万十源流の大モミ」の案内標識がある。上方へ向かって歩道が続いているが、林道からどの程度分け入らなければならないかが読めないため、帰りがけのお楽しみにとっておくことにした。
 若葉の生い茂る林道を歩いて行くと、段々と鬱蒼とした森へと変わっていき、やがて水場のある林道終点に辿り着く。そこでは本日一組目のパーティーが一休みしていた。水場は思ったよりも水量が少なく、久万町で詰めた水をわざわざ詰め替える気分でもなかったし、林道歩きも然程疲れを感じなかったので、ノンストップで先へと進むことにする。ここで高知のパーティーを追い越し、先頭に立つことになる。

 歩き始めて1時間、分岐道へと到着。右に進めば5分でコウヤマキ尾根、左に進めば不入山へ60分と道標に記してある。いずれも「不入山山頂へ」の道標が立っている。どちらに進むか迷ったが、まずは一服休憩することにする。
 腰を下ろしていると、高知のパーティーに再び追い越される。高知のパーティは直登のルートを選んでいった。岡山のパーティーも間もなく到着。同じく一休みに移る。

 結局、僕達も直登ルートを選ぶことにした。なかなかの急斜面ではあるが、それほど辛い歩きでもない。辺りの岩は殆どが苔生しており、シャクナゲなどの古木が岩にしっかりと張り付いている。深山幽谷的様相を醸し出していて、何となく神秘的な雰囲気である。特筆すべきはヒメシャラであろう。至る所にサルスベリに似た明るい茶色の肌を覗かせている。
 登山路は全般的にガレ場の急坂が続き、所々滑りやすくなっており何度か足元を掬われてしまう。慎重に一歩一歩踏みしめながら高度を稼いでいく。

 分岐路から30分ほどで、「山頂まで550m、約25分」と書かれた標識の立つ尾根へと着く。ここからは背丈の高いササが道の両脇を覆っている。クマが出現するとの噂もまんざら嘘では無さそうな雰囲気である。
 ササ道を進むと大きなヒノキの木が悠然とした姿で待ち構えていた。根元には「太郎坊」と記された朽ちた看板が転がっている。アケボノツツジを着生させたヒノキだということだが、花の季節でないため、そんなことにも気付かず、ただ幹周の太さに感動することしきりである。

 前方にはシャクナゲの群生が待ち構えている。5月に来たら、さぞかし美しい花々と御対面できることだろう。想像しただけでも楽しくなってくる。

 ここからは段々と景色も開けてきて、背後には四国カルスト・天狗高原の姿もお目見えする。辺りにはブナも出現し、なかなかいい雰囲気の道である。

 山頂手前で再びササ道に突入するが、ここで稲葉さんが「銀竜草(ギンリョウソウ)があるよ」と声を掛けてくれた。単独行では気付かずに見過ごしてしまう所であったろう。2株の銀竜草ははかなげに透明の茎・花を落ち葉の間から覗かせていた。初めて巡り会うことができた花に、ついつい嬉しくなり写真に収める。

 歩き始めて約2時間、10:50、標高1336mの不入山山頂に到着。抜群の眺望を期待していたのだが、生憎の曇天で遠くまで見渡すことができない。北方に頂部を削り取られた鳥形山の無残な姿が見えるだけである。

 何はともあれ、まずは祝杯を上げる。引き続き昼食準備へと移る。今日のメニュー焼き肉・わかめコンソメスープ・インスタントラーメンの超豪華メニュー。食も自ずと進むし、話もはずむ。最近では珍しく1時間30分に亘る山頂での一時を過ごしてしまう。

 すっかり忘れかけていた山頂での記念撮影を済まし、12:30、下山に移る。帰りはコウヤマキ尾根経由の道を選ぶことにする。この道の先にはシャクナゲ群落が延々と続いていた。圧巻である。花の季節には絶対に訪れようという気にさせてくれる程の数である。
 コウヤマキの林もいい。杉やヒノキに似た肌を持つ幹をすっと伸ばし、先には深緑の細い葉をふさふさと付けている。

 地図ではかなり迂回するように見えたが、コウヤマキ尾根コースを歩いても結局50分足らずで林道終点に到着。乾いた喉に手で掬った水を流し込み、一旦休憩することにする。

 一休みして再び歩き始め、来る時にチェックしていた「四万十源流の大モミ」探訪へと移る。「どのくらい歩くのかなぁ」「10分ぐらいでしょ」などと話していたらあっと言う間に眼前にモミが現れた。モミにしてはかなり大きなものである。幹周280cm、高さ38m、樹齢210年ということだ。210年という半端な数字を示しているところを見ると、きっと書物に植えたことの記録が残っているのであろう。

 モミの巨木を堪能して山道を下ると、二人連れの男性に出くわす。こんな時間から登山する人もいるのだなぁ....などと思っていたが、どうも服装から察するに登山者には見えない。「不入山まではどのくらいかかるのか」と向こうから切り出してきた。概略の歩行時間を告げ、更にこの上にモミの木があることを伝えると、「今日はモミの木を見て帰ろう」と言う。だが、手にしているのは棒と麻布である。この人達の目的は一体何なのだろうと不信感を抱かずにはいられない。まぁ人それぞれだから深く追求するのは止しておこう。

 帰りもキイチゴを摘みながら快調に歩いて行く。14:20、林道入口に到着。

 さて、この先どうしようか。時間が有れば鶴松森往復も考えたのだが。結局話しあって、折角なので四万十川源流を訪ねることにする。

 未舗装の過酷な林道を2.5kmほど下り、分岐のところから標識に従い更に2.5km進むと源流碑の立つ広場へと到着した。先程不入山で一緒になった岡山のパーティーが先着している。彼女らの車の横に駐車し、荷物は置いて身軽な格好で源流点に向けて出発。登り口には「源流まで25分」と道標が立っている。しかし、結局は10分少々で源流地点まで到着した。岡山組も「もっと先に続いていると思ったのにねぇ」と、思ったよりも登り口から遠くないことに拍子抜けしている。まぁ何はともあれ源流点を見れたので良しとしよう。

 この先どうしようか、東津野村船戸側に下り、国道197号を通って梼原町の雲の上温泉にでも浸かった後日吉村経由で帰ろうかと思案したものの、結局元来た道を引き返すことにする。

 途中、仁淀村の岩屋川渓谷・秋葉神社に立ち寄って帰ろうと試みるが、国道493号線からの分岐道を見落としてしまい、敢え無く挫折。探訪欲を満たすために、国道33号線合流手前のところより左折し、大渡ダム公園へと向かう。季節の花アジサイが道の脇に延々と植えられており、なかなかいい感じである。
 公園からダム湖を見下ろして休憩する。貯水量が少なく、涸れた雰囲気で、絶景と呼ぶには今いちであった。ちょっと残念。

 あとは松山へと車を走らせるだけである。途中、ササユリでも土産に買って帰ろうと三坂峠に寄り道するが、三坂にある(あった?)ササユリ園のササユリはイノシシに食い散らかされて販売できない状況にあるとのこと。仕方なく、手ぶらで帰ることにする。

 あとは本日の仕上げで、砥部町の湯砥里館(温泉)に立ち寄り、汗を洗い流し、足腰の疲れを癒して家路に就くだけである。
 

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