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こたろう博物学研究所
探訪記録:20001105 |
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水無権現(中山町/内子町)登山、西権現山界隈(伊予市)散策【平成12年(2000)11月5日】「お父さん、寝過ごした!今日、試験じゃけん、学校に8時半までに行かんといけんのよ!」 おいおい、またもや予定が狂うたやんか!と不機嫌な面で目覚めてしまったのだが、外は晴れ間がのぞいている。 「で、送っていくと言うことは帰りは迎えに来いっちゅうことじゃろが」 「うん、14時30分に迎えに来て」 これじゃ遠方の山など行けるはずもない。ま、しゃーないけど、取り敢えずリュックを担いで車に乗り込むこととする。 高校まで娘を送っていったあと、国道56号線を南下。さて、どこに登ろうかと考えるが、とにかく朝飯を調達せねば。伊予市に入ってから、コンビニでパンとコーヒーを買って、駐車場にて地図を広げて今日のコースを思案する。 この近郊の谷上山・障子山・明神山などは既に登ったことがある山ばかりなので、内子の方でも攻めてみようかと地図をなぞってみると、ふと「水無権現」と、山の名前らしからぬ山の存在に気付く。距離的にもちょうど良さそうである。「ここに登ろう」と決めたら、行動あるのみ。25,000分の1の地図だけを頼りに、水無権現へ向かって一目散だ。
中山町内に入り、交差点を左折。折角、中山まで来たのだから、ちょっと寄り道しておこうと、まずは菩提樹の古木で名高い積翠山盛景禅寺へ立ち寄る。参道の入口には柳原極堂の句碑「化けて来し 狸と秋を語りけり」が建っている。その脇には、信楽焼の狸が1体、座っている。 町指定重要建造物に指定されている山門をくぐり、境内を左に進むと、「戒証山公園(ロマンスが丘)」と記された標柱が目に止まる。なかなか粋な名前である。恋人達のデートスポットに違いないと、隠れた穴場を見つけた喜びに胸を躍らせながら坂道を登っていくが、石室に囲まれた石仏が点在するのみ。「なんじゃい、こりゃ。全然ロマンスじゃないじゃないか!」と半分がっかりしてしまう。それでも「あなたお願いよ〜石仏建てないで〜」などと岩崎宏美の「ロマンス」の替え歌を口ずさみながら気を取り直す。 やがて「大道無門の碑」「照之句碑」に出会い、その向こうに立派な菩提樹の姿が見える。樹齢約700年。枝振りはなかなか見事である。まぁ、これが見れただけでも価値があった。 あと「八大龍王神」の祠を観察した後、参道脇の水道で水を汲まして貰い、本題である登山に移行することにした。 国道と川を挟んで並行する小道を南に向かうと、三島神社(大山積神社)が目に入ったので、再度寄り道。特筆すべきアイテムも無く、カメラに社殿の姿を収めると早々と立ち去った。 国道との合流点のやや手前より左手に折れ、県道241号線を進み、春には梅の花で有名な漆地区へと向かう。山の斜面に小振りな集落が形成されている。噂通り、多くの梅の木が斜面を覆っている。砥部町七折よりは規模的に少ないものの、春に訪れたならば、さぞかし美しい風景に巡りあえることだろうと思わせる。 さて、地図では登山口が近いはずなのだが、メジャーな山でもなく、登山口標識など有ろうはずもない。県道を進んでいくと、やがて中山町と内子町の境界の峠に着いた。駐車するスペースも十分にある。路側に車を停めて、「県道池田中山線開通記念碑」「感謝の碑」が建っているところから稜線沿いに進むことにする。時刻は10:04。 雑木林の間にそれらしい道が続いているのだが、ヒノキの幼木林の辺りで道は塞がれてしまう。どう見ても私有林なので、勝手に歩き回って申し訳ないなぁとは思いながらも、稜線をトレースしながら前へと進んでいく。 やがて栗畑に着き、北方への景観が開けてくる。青空の下、秦皇山や黒岩岳の姿を仰ぎながら進むと、登山道らしき道に合流する。結構人が訪れているのだろうか、踏み跡はしっかりしている。途中、内子町杖窪側の斜面にある荒れた畑の中を通過することになるが、すぐに山道に復帰する。 山名からしてきっとこの界隈で崇め祭られている権現が鎮座しているのだろうと、期待を抱きながら登っていく。アップダウンもなく、また勾配もなく快適な道が続く。景観は余りよろしくないが、山歩きをするという意味では申し分ない。 歩き始めて約30分。目の前に三角点が出現。手頃な距離である。しかし、周りは木々で覆われ、景観は全く望めない。三角点付近には山名を記した標識類もなく、ただ三角点の標石と、「三角点を大切にしましょう」という標柱、そして紅白のポールが建つのみである。期待したケルンなどの存在も確認されない。 15分ほど山頂にて腰を下ろしてくつろいだが、標高703mの山頂が意外と肌寒い。11時手前であり昼飯にまだ早く、景観も拝めないので、さっさと下山に移ることにする。 下りは20分ほどで峠まで戻ってきた。時刻は11時10分であり、まだ娘を迎えに行くまでには時間がある。「牛の峰でも行ってみようか」と思ったが、それでは時間が足りない。中途半端さを歯痒く思いながら、一旦中山町の市街地まで下り、松山方面へと引き返すことにした。 国道を北上すると、ふと前々から気になっていた龍宮門の姿が目に止まった。保育所の上側の路側に車を停め、その門のある場所まで歩いていく。「別格地佛日山大興寺」と寺号碑に刻まれている。 境内に上がると、毛がふさふさの小犬が小声で吠えてくるが、犬好きな男であることを感じたのか、態度を軟化させじゃれついてくる。撫で可愛がっていると、背後から住職が現われる。どうも法事へ出掛ける様子なのだが、 「どこからおいでたん」 と声をかけてくれる。 「松山からですわ」 と答えると、 「なんか見ておいでたん?」 と再度問い掛けてくる。 「いやいや、前から国道を走っているとき、この門が気になっとったんですわ」「新聞にも2,3回載ったことがあるんよ」 年も若そうな住職は屈託なく話をしてくれる。 「ところで、どっか山でも登っとったん?」 そういや、スパッツも外さずここまで来てしまった。 「水無権現に登ってきたんですよ」 「水無権現?どこにあるん?」 ....同じ町内の山だからてっきり知っておいでるのかと思ったのだが。 「漆の奥にある山ですよ。ほれ、そこの向こうの....」 「知らんなぁ...水無権現....?」 どうも、先程山頂を極めた山は町民さえも存在を気にかけない超マイナー級の山のようである。 山間にチャイムが響く。お昼時でなったことを心地よい音で報せる。 さて、どこで昼食を摂ろうか。あと2時間半しかないので、取り敢えず伊予市まで戻っておくことにしよう。 久し振りに正一位稲荷神社に訪れることにする。鳥居の下に「伊予市八景正一位稲荷神社と西権現山」と書かれた標柱を発見する。 「うむ?西権現山....。こりゃ初耳だなぁ、行ってみる価値はあるなぁ」と新たなスポットを発見した喜びに浸る。まずは稲荷神社の境内を散策し、亀石や夜泣石を観察。境内を一巡した後、西権現山を目指すことにする。 しかし、こちらも案内標識のかけらもありゃしない。稲荷神社の裏手の山のことを指すのだろうかとぶらぶらと歩いてみるものの、どうも雰囲気的におかしい。車で社殿南側の方に進んでみるものの、溜め池があるぐらいで、伊予市八景に選ばれるようなスポットではない。まぁ、とにかく山に向かってみようと、車幅1台がやっとの道を進んで行く。 しばらくすると、アスファルトからコンクリートの舗装に変わり、ただ前進あるのみと進んでいけば舗装が途切れ、先に進めない雰囲気になってくる。丁度、2〜3台の駐車が可能なスペースになっているので、そこに車を停める。この場所からほんの少し上方に歩くと、そこに権現堂が建っている。間違いない。ここが西権現山だろう。 景観はなかなかのものである。標高は100mそこそこといったところだろうが、ここからは道後平野が一望できる。更に道を奥に歩いていくと、蜜柑畑のところから谷上山なども眺めることができる。 市街地からも近く、手軽な場所ではあるが、なかなか「山に来たぞ」と思わせる場所である。景色を楽しみながら、昼食のラーメンをこしらえて空腹を補う。気分は爽快だ。 14:10頃、娘との約束を果たすため下山。お手軽山行はこれにておしまい。 【同行者】なし 【コースタイム】 [水無権現往復]県道開通記念碑−(30分)−山頂−(20分)−県道開通記念碑 [西権現山往復]−(のふぞな車での山行であったため、コースタイムは省略) |
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