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こたろう博物学研究所
探訪記録:20000524

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明神山・秋葉山(伊予市/双海町)登山【平成12年(2000)5月24日】


 3月、4月と仕事で忙しかったせいもあって、代休が溜まっている。代休消化及びリフレッシュのために今日は休みを取って近場の山に出向くことにした。(こんなこと書きながらも、何となく、「いつもリフレッシュしるじゃん!」と後ろ指を差されそうな気もしてくるが....。)

 10:00過ぎに自宅を出発。国道56号線を南下し、犬寄トンネル・東峰トンネルを抜けたところで、左に折れる。旧犬寄峠の四辻を左折。次の分岐を真っ直ぐ行くとやがて蜜柑畑に到り、北伊予農協堆肥センターの建屋が見えてくる。ここから少し行ったところで舗装が途切れ、林道柆野カヤマ線に移る。このまま林道を車で進んでいこうとも思ったが、我が愛車の足元、特にタイヤが心許ない状態。いきなりパンクでもされると困ってしまう。そこで林道入り口の路傍に車を停め、てくてくと歩いていくことにした。車中で時刻を確認。時計の針は10:50を示している。登山準備を整え、早速歩き始める。

 「えっと、....現在の時刻を再確認...っと....。ん?....無い!腕時計が無いがぁ!」
腕時計をし忘れてきた自分を恨んでしまう。
 「ま、待てよ。確か携帯電話は持ってきたはずじゃけん......。ありゃぁ!ありゃせんがぃ、よいよい」
携帯電話さえも忘れてきた自分の無防備さに嘆きの声をあげてしまう。
 単なる山歩きだけでなく、詳細記録をモットーとしている僕にとって時刻を知る手段が無いのは致命的である。
 「しゃあないわいなぁ...。取り敢えず、出発時刻と到着時刻だけは車に付いている時計で確認できるわいなぁ...」
と時間記録を諦めてとぼとぼと歩き始める。まぁたまには時間に縛られない歩きも良かろうと自分を慰めつつ、砂利道を行く。ふと振り返ると、頂上にテレビ塔を従えた秦皇山の全景が見える。
 「これは写真に収めなければ」とデジカメを取り出してふと重要な事実に気付く。
 「そうよ。このデジカメは撮影時刻をファイルとして記録するんやったわい」
その事に早々と気付いた自分に思わず賞賛を贈ってしまう。

  「まあ景色でも見ながらゆっくり歩いていったらそのうち着くでしょ」
と軽い気持ちで歩き始めたのだが、なかなか登山口らしきものが見つからない。「やっぱり車で来たほうがよかったかのう」とうねすね悩みながらも「道端に咲く花をゆっくり眺めることができるのも歩きならではのこと」と自分に言い聞かせながら行くしかない。まだ歩き始めて間も無いのだが、どうも車幅の林道歩きには慣れていないせいか、単調すぎてついつい弱音を吐いてしまう。そして、案内板らしきものが何一つ無いのも追い討ちをかけているのだ。
 それでもピンクや薄紫のニワゼキショウや、黄色のノゲシ、ニガナ、ハハコグサなどの草花を観察しながら進めば気が晴れる。

 やがて右脇に赤い標柱が埋まっているのを発見する。「おっ!ここが登山口か!」と手前の薮を掻き分けて、なにやら記されている文字を確認してみると「酸性雨モニタリング点」。がっかりして再び歩き始める。

 歩き始めて40分。標識類は一切ないが、コルのところの雑木に赤テープが数枚張り付けられているのが目に留まる。登山口にやっと辿りついたという安堵感を覚える。このまま登山口が見つからなければ、本ページの題名は「林道徒歩記」にしなければならないところだった。「さあ一息つこうか」....とポケットをまさぐり煙草の箱を取り出して蓋を開けると、
 「何ぃ!残り1本しか無いやんか!」
何もかも置き忘れてきた登山である。仕方無い。ここで最後の1本を吸った後は「禁煙の山歩き」としようではないか。

 5分ほど休んで登山再開。登山道の入口は薮が覆っており、「薮こぎ必至」といった感じである。ふと自分の腕元をみると、
 「何ぞぉ!今日に限って半袖やんかぁ!」

 登り始めこそ多少茅などの草木が鬱陶しかったが、心配は御無用であった。登り始めてすぐの分岐路を右に折れると、木々の間に比較的ゆったりとした登山道が続いている。行く手を遮るような「はしかい」小木も生い茂ってはいない。

 しばらくは急坂が続く。急坂と言っても枝を掴んでいくような坂ではなく、多少しんどいかなと思わせる程度である。10分ほどで小休止するには丁度よい平な部分に出る。ここからは右手が杉の植林帯、左手が落葉樹の林となる。その境界に登山道がついているのだが、時折道が不明瞭になる。しかし、稜線をしっかり捕えていけば、すぐに赤テープの切れ端に出会うことができるので、迷う心配はなさそうだ。やがて四方八方杉の茂る植林帯の中に出る。ふと右上方を見上げると、青い空からまばゆい光が下りてくる明るい空間が見える。右に折れて上がっていくと稜線に出る。稜線南側は伐採しているため、景色が開けている。東〜南〜西にかけて取り囲むような山々の姿が目に飛び込んでくる。

 ここから2分足らずで三角点に辿り着く。時刻は11:50。登山口から30分足らずで到着である。このまま、秋葉山目指して歩いていき、そこで昼食に移ろうかとも思ったが、山頂からの展望を写真に収めている間に一斉に正午を示すチャイムが山間のあちこちから響いてきた。色んな音が混じり合ってなんじゃこりゃといった感じであったが、その中でとりわけ大きかった「正午の音楽」は、何と会社(工場)で流れるメロディーと同じである。そのメロディを耳にすると条件反射的に食欲が出てきたので、ゆっくり腰を下ろすことにする。
 ラーメンを作るための湯が沸き上がるまで、山頂付近を眺める。山頂には三角点の標柱、そして松中OB会、愛媛県山岳連盟(平成4年1月26日)の立て札が立っている。
 昼食をとりながら遠景を楽しむ。階上山(はじかみやま、898.6m)、秦皇山(しんこうざん、873.5m)の間には、蒲山(874m)、三郷の辻(931.9m)、久万町の桂ヶ森(1224m)、そしてその彼方には大川嶺が霞んで見える。南から西にかけては中山町の黒岩岳(698.9m)、内子町/双海町境界に聳える牛ノ峰(895.5m)がはっきりと見える。
 黒岩岳の裾には高速道路の建設工事が営まれている。だいぶん出来上がっているが、時折発破の音が鳴り響いている。

 30分ほどの山頂の時間を満喫し、下山に移る。もう少しゆっくりしても良かったのだが、夏が近いせいか虫がぶんぶん飛び交い、五月蝿いので腰を上げることにした。
 道も距離感も掴めたのでスムースに足が運ぶ。13分で登り口のコルのところまで下りてきた。

 引き続き秋葉山を目指して林道を歩く。こちらも登山口を探しながらの道であるためか、結構距離を感じてしまう。
 途中ヤマデマリの花に出会う。紫陽花のような形の白い花がぼちぼち開き始めている。振り返ると先程登った明神山の姿が一望できる。と、よそ見はかりしていてはいけない。登山口を見過ごしてしまう....と右側ばかりに注意を払いながら進む。

 10分ほど歩いたところのコンクリートブロック壁の切れ目のところに最初の赤テープを発見。どうも悪路のような気がするのでパスする。続いて3分後、一見しっかりした登山道が続いているが、上を見上げると植林帯で傾斜もややきつそうであるので、こちらもパスする。更に歩くこと3分で林道終点に到着。その先にも赤テープが取り付けられた登山道が見えるので、ここから登ることとする。稜線に沿って比較的明瞭な道が続く。すぐに最初のピークに着き、それを乗り越えると次の上りの途中で尾根道が少し不明瞭となる。赤いポリプロピレンの荷造り紐が植林帯の巻道の方に括りつけられているので、右手に分かれ、そちらを歩くこととする。

 上り始めて20分で山頂よりやや東(正確には北東)の稜線に着く。ここで折り返して稜線に沿って歩けばすぐに秋葉山頂に辿り着く。ここには三角点の標石は無く、松中OB会の立て札が立つのみである。景観も然程よろしくない。やや北に下って歩いていくと、急に景色が開けてくる。そこには石造りの祠が祀られている。秋葉山という名前から察するに、きっと地元の人が防火祈願の意味を込めて高知県の秋葉神社から勧請して祭ったのだろう。
 ここからは南西から西にかけての風景が楽しめる。下灘辺りの集落と海、そして遠くには長浜沖の青島まで展望できる。西側下を見下ろせば上灘の久保地区が間近に見える。そうか、去年の11月21日、上灘方面を散策した際に見上げた山はここ秋葉山だったんだと半年前のことを懐かしむ。

 10分ほど休んで下山に移る。秋葉山山頂からはトラバース路ではなく、稜線を下りる。上りの際には不明瞭に見えたが、結構踏み跡がしっかりしている。調子に乗ってすいすい下りていく。そして見覚えのある最初のピークから下りていこうとした時、ふと登山道と方向を見失ってしまう。まあ何とかなるでしょうと太陽の光の射し込む方向をずっと歩いて行くと登ったときより急峻な勾配の斜面を降りていくことになった。気が付けば林道終点の側壁上部に着いていた。降り口が無いため、一旦上に引き返すように歩いて、最初のぼってきた道に合流し、事無きを得た。

 あとは林道を引き返すだけ。「やっぱり車で登山口まで行ったほうが良かったな....」としつこいように怠惰な気持ちが涌き上がったものの、途中、来るときには気付かなかったエゴノキの花を発見したときは、随分と得した気分になった。てくてく歩いて1時間、駐車した場所まで戻ってきた。

 合計昼食含みで3時間45分。大半は山登りというよりは林道歩きであったが、植物の名前もだいぶ覚えたし、まぁこんな山行もたまにはよかろう。



【同行者】なし
【コースタイム】 総歩行時間:約3時間
林道入口→(30分)→登山口→(30分)→明神山山頂→(15分)→登山口→(15分)→林道終点→(25分)→秋葉山山頂→(1分)→祠→(2分)→秋葉山山頂→(20分)→林道終点→(60分)→林道入口
 

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