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![]() ![]() こたろう博物学研究所 カテゴリ別情報庫 おたた伝説 |
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おたた=賣魚婦(松前女)頭上運搬魚売り娘、「おたたさん」についての情報です。↑ こんな書き方したら、なんとのう伊藤咲子が歌い出しそうじゃねぇ。 |
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1.なぜ「おたたさん」なのか?松山近辺出身の方には馴染みがある「おたたさん」。頭の上に御用櫃(=ごろびつ、御料櫃とも書く)と呼ばれる桶を乗せて魚を売り歩く女性のことじゃね。 しかし、なぜ「おたた」と呼ばれるんじゃろか? うーん。語源が気になるわい。 このページでは彼女(達)にまつわる話のうち、その名前の由来について追ってみようわい。 慶長年間(1596-1614)、京に滝姫という公家の娘がおったんじゃと。滝姫は禁断の恋をしてしまったばかりに流罪となり、泉州、堺から松前の浜へと流されてしもうた(*1)んよ。
「魚買わんかー。魚買えー。」と魚を売り歩く、美しく気高い滝姫の姿に村人達は憧れ、やがて「おたきさま」と呼ぶようになり、村の女達は滝姫を真似て頭上に桶を乗せて魚の行商を行うようになったんよ。 やがて「おたきさま」は「おたたさん」に転化したということじゃかぃ
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2.「おたたさん」松山進出松前に広まった「おたたさん」の評判は、当時の松前城主、加藤嘉明の耳に止まったんよ。そのころ加藤嘉明は、平地の城では攻め込まれやすいっちゅうことで、松山の勝山への城の移転を考えておった。 そして、慶長7年(1602)に松山城の築城に着手したんよ。 「おたたさん」の頭上運搬能力は、城を築く為の石礫(せきれき)を運ぶのに買われ、多くのおたたさんは魚の代わりに石礫を乗せて松前から松山まで運ぶことを命じられたんよ。 その功績を頌えられ、松山城完成の暁には「御用櫃」の焼き印の入った桶を頭上に乗せて城下での商売が許される事になったわい。
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3.おたたの鏡、お豊の伝説松山城築城のとき、松前の港には大名から送られた紋入りの石垣用の石が山のように陸揚げされた。これらの石を、毎日たくさんの松前のおたたさんが頭の上に乗せて松山まで運んでいたんじゃと。(*1) その中の一人「お豊」は、長い勤めに疲労困憊していたのじゃが、生真面目な性格じゃけん、その日も勤めに出たのじゃった。 1つ丸に二の字の入った石は大きく、誰もが顔を見合わせて運ぼうとはせんかった。 お豊は疲れているにも関わらず、皆の制止を振り切って「私がやりましょう」と運搬を引き受けた。 「こんくらいのことができんかったら御主人様に申し訳ない....。」(*2) 運び始めてみたものの、出合を過ぎる辺りからだんだんと遅れ始め、よろめいていた足も日招神社のところまで来て倒れてしもうた。 そして、彼女は帰らぬ人となってしもたんよ。(うるうる..) その後、健気なお豊を哀れんで、その石を「お豊石」といい、日招神社の境内に残すことにしたらしいわい。(*3)
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4.どんな荷物も頭上で運搬おたたさんの運んだものには魚、石だけではなく水もある。「なんのため? どこに?」 日照で水不足(*1)になったときに、おたたさんは松前の竜宮神社で1週間の雨乞い踊りと祈祷を行い、20数Km東の川内町 雨滝宮まで海水を運び、 淵に水を投げ入れて降雨を祈願したと伝えられとるんよ。 昭和42年の夏も、日照り続きでこりゃ困ったっちゅうことで、6月21日に松前竜宮神社に25名の「おたたさん」が集結し、雨乞いをしたらしいわい。 1週間、満願の日まで毎夜2時間、太鼓の音に合わせて「雨を下され竜宮どん、竜宮界のオトノ姫、アラ雨大ぶりじゃ大ぶりじゃぁ」と祈祷して、 ほして満願の日の早朝、「おたた組合長」が潮水で水ごりした後、100数名のおたたが潮水を入れた桶を頭に載せて、川内町の雨滝神社まで歩いていった ということじゃわい。
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5.「おたたさん」と遭遇するには?今日でも「おたたさん」は実在するはずなんじゃけど、わしゃ、まだ実物の「おたたさん」と遭遇したことがないんよ。 「観光客用にわかおたたさん」ならば松山市の子規堂で見掛けたことがあるんじゃが、バイトの女の子達(推定年齢:18〜22歳)がぺちゃくちゃ喋りながら突っ立ってるだけなんで、なんとも風情の無いことよ。 [1996年12月記]聞くところによると、松前町には未だなお「おたた組合」のようなものも存在するし、朝夕には松前町内を魚を売って回っとるらしい。勿論、頭の上に桶をかついで売っとるわけではなく、リアカーじゃの単車じゃので回りよるらしいんじゃけどな。[1999年6月記] |
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おたたさんに関する話はこれだけではないと思いますが、調査不足ゆえ これにて終わりです。松前町民または最寄りの縁(ゆかり)のある地域に 住んでおられる方、関連する話を他にお知りでしたら教えて下さい。 |